連作短編集。ひとつひとつに落語のモチーフがあるが、基本的には現代のお話。いろいろなおばちゃんたちが、若い人たちと関わりあったり、直接は関われずともエールを送ったりする、コミカルであたたかい物語。でも、おばちゃんたちは基本的には死んでいる。…
この詩集は天気が悪い。 雨が降っていたり、雪が積もっていたり、なんとなくの曇天。それなのにふしぎと湿度がほとんどない。乾いていて、温度も低い。その乾いた質感からか、夏のような、じくじくしたナマモノへの厭わしさを感じる。 死んだ夏をホルマリン…
タブッキは本当にどんなに臭くて暑そうな場面を描いても、陰鬱で死が色濃く影を落とす場面を描いても、謎の透明感がある作家。それは以前『インド夜想曲』を読んだときにもつよく感じた。 突然運び込まれた身元不明の死体をめぐって、その死体のアイデンティ…
勉強って、学問って、本当はめちゃくちゃに面白いものだってこと、多くの人は知らない気がする。朝は身体に鞭打って会社に行って働いて、帰ってご飯食べてテレビ観てちょっとインターネットしたり本読んだりしてお風呂に入って寝る。社会人になるとその繰り…
ミランダの視線はいつも真摯で誠実だ。 彼女が描く人物たちは、たいていどこかズレていて実際会ったら「ウワァ…(ドン引き)」となるような人々だけれど、その人たちにはその人たちなりのルールがあって、ミランダはそれを「ウワァ…」と思う部分も含めて誠実…