“良い夜を待っている”

良い夜を読んでいる

果たして鈍器本は読まれていたのか 2021年4月から「鈍器本をみんなで読む会」と題して、ただひたすら生活音のみ、たまに猫が鳴き、読んでいる本を教えてもらい、ちょっとだけおしゃべりをして、私の生活音を垂れ流しつつ本を読む会をやってきた。 「鈍器本を…

#10 カラマーゾフの兄弟 の放送後記(text by @_yoiyoru)

かかり真魚さんをゲストにお迎えした『カラマーゾフの兄弟』回。 収録も盛り上がって、とても楽しかったです。 初めて読んだのは2020年。ここからすべてが始まった。その後、詳注版を買って、まんまと沼にハマっていった次第です。ない記憶がどんどん生まれ…

#9 突囲表演、蛇の言葉を話した男 の放送後記(text by @_yoiyoru)

anchor.fm 前回の続きで最近読んだ本の話など。 ソロ喋りも若干慣れてきた?でもやっぱり無駄に笑ってしまう癖をなんとかしたい。 今回ご紹介した本はこちら。 突囲表演 (河出文庫) 作者:残雪 河出書房新社 Amazon 残雪の長編は『黄泥街』に次いで、読むのは…

#8 赤い魚の夫婦、ほか の放送後記(text by @_yoiyoru)

anchor.fm はじめてのソロ録音でした〜。いやぁやってみると照れなのか何なのか、謎に笑ってしまいますね。笑いでごまかすんじゃないよ。精進します。練習のためにツイキャスでもやるか。練習って何。配信で食ってる人に失礼では。 今回ご紹介した本はこちら…

#7 シオランと反出生 vol.1の放送後記(text by @_yoiyoru)

anchor.fm シオランと反出生主義について考える第二回。 言及本 今回のポッドキャストの内容と本の内容は関係はあまりないですが、いや〜この本は読むのがマジでしんどかった。セリーヌの『夜の果への旅』と並んでしんどい読書の思い出があります。 死霊I (…

#6 シオランと反出生 vol.1の放送後記(text by @y0wo)

anchor.fm ■可愛いシオラン 生誕の災厄 新装版 作者:E.M. シオラン 紀伊國屋書店 Amazon 現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想― 作者:森岡正博,戸谷洋志,D・ベネター,T・メッツ,島薗進,小泉義之,加藤秀…

#5 かわいいロボット の放送後記(text by @_yoiyoru)

anchor.fm 今回は推し本プレゼン回でした。 このあと羊毛さんは普通に読んでくれて、感謝。弊機くんのかわいさに萌え萌えしていただけたようで何よりです。 マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ 東京創元社 Amazon マーダー…

#4 読書とは vol.2 の放送後記(text by @y0wo)

anchor.fm 長くなったので切って分けてみたよ回 1. そもそも言葉が好き説 闘争領域の拡大 (河出文庫) 作者:ウエルベック,ミシェル 河出書房新社 Amazon フィールド言語学者、巣ごもる。 作者:吉岡 乾 創元社 Amazon ハリー・ポッターと賢者の石 (1) 作者:J.K…

#3 読書とは vol.1 の放送後記(text by @_yoiyoru)

anchor.fm 1. 世界、わからんな バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス) 作者:施川 ユウキ 一迅社 Amazon 羊:「神林しおりは感じろと言っているが・・・(難しい)」 ハイファに戻って/太陽の男たち (河出文庫) 作者:カナファーニー,ガッサーン 河出書房新…

#2 記憶 の放送後記(text by @y0wo)

1.タイトルについて または円城塔の「わからなさ」 これはペンです (新潮文庫) 作者:円城 塔 新潮社 Amazon ヨ「『愛』という言葉は物事を単純化しすぎるきらいがあってあんまり好きじゃないんですけど、これは『愛』だと思いました」 羊「理系ロマンチック…

#1 はじめまして の放送後記(text by @y0wo)

なんとこのたびポッドキャストをはじめました。 放送後記は、羊毛さん(@y0wo)が書いてくれたり、私が書いたりします。 ブログともども、どうぞよろしく。 anchor.fm ======================== 1.自己紹介をしましょう ヨイヨル (…

『説教したがる男たち』レベッカ・ソルニット

レベッカの著作を読むのは2作目。1冊目は『それを、真の名で呼ぶならば』というトランプ政権の痛烈な批判から環境問題、そしてベースにあるフェミニズムまで幅広いテーマのエッセイ集。こちらもとても興味深かったけれど、よりフェミニズムに焦点を当てた本…

『供述によるとペレイラは・・・・・・』アントニオ・タブッキ

タブッキは水彩画みたいだ、と読むたびに思う。はっきりとした輪郭はないのに、離れて見るとちゃんと全体像が浮かび上がって見えてくるところとか、ぼんやりしているようで、細部はハッとするほど鮮やかだったりするところが、よく似ている。 ペレイラはうだ…

『フェルディドゥルケ』W.ゴンブローヴィッチ

ひとことで言うと、変な小説。ただ、「変」とは言っても、芸術への情熱に裏打ちされた「変」さに、私は惹きつけられる。そんな小説だった。 あらすじは、こんな感じ。30歳非モテ青年がいきなり男子校にぶち込まれ、そこで起こるなんともバカバカしい諍い(「…

2020年 読んだ本ジャンル別ベスト5冊

2020年、はじまったときはこんなことになるなんて思っても見なかった。というのがおそらく多くの人が抱く感慨だろう。私は春くらいから少し自宅勤務があっただけで、夏からはもう、全然普通に出社しており、リモートになったのは面談やら会議やらだけ。それ…

読書とコンプレックス

コンプレックスの多い人生だ。容姿はもとより、頭脳もポンコツで、何を始めても三日坊主だし、人間を何十年もやっているにもかかわらず、生活がうまくできない。技能も技術もなく、楽器もできなくなってしまった。絵心もない。唯一好きで、なんとか人並み(…

『カッコウが鳴くあの一瞬』残雪

大好きな残雪の短編集。残雪は『黄泥街』でめちゃくちゃにされてからずっと大好きで追っている作家の一人。『黄泥街』はずっと絶版だったのだけれど、白水Uブックスから復刊されたので残雪読んだこと無いよーって人は是非ここから入ってほしい。糞と垢を灰で…

『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

すみませんちょっと我慢できないので、大声失礼します。『カラマーゾフの兄弟』読み終わったァァァ!!!!クッソおもろ!!クッソおもろやんけ!!!なんだこれ!!!!意味わからん!!!小説のおもろいとこ全部入っとるやんけ弁当!!! pic.twitter.com/…

『見知らぬ乗客』パトリシア・ハイスミス

同性間の巨大感情が大好きなみなさん。「共犯者もの」、お好きですよね?わたしはこう聞かれたら首もげるくらいヘドバンする。あの娘ぼくがもげた首でロングシュート決めたらどんな顔するだろう。ってくらい好き。伝わる? おまえが言ったんだぞ 。共犯者っ…

『竜のグリオールに絵を描いた男』ルーシャス・シェパード

グリオールは巨大な竜。その大きさは背中までの高さが750フィート(約228m)、長さが1マイル(約1.6km)ほどもある。かつて魔法使いがグリオールを殺そうとして失敗し、完全に殺すことはできなかったものの、竜の身体は麻痺して動かなくなった。何千年もの…

『若い読者のための短編小説案内』村上春樹

村上春樹は良い読み手だ。 著名な作家が良い読み手とも限らないが、この本を読んで改めてそう思った。これまで読んできた村上作品の血肉となっているのは主に海外文学(サリンジャー、チャンドラー、フィッツジェラルドなど)だと思っていた。それは確かにそ…

『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』ティモシー・スナイダー

3〜4年前くらいからだろうか、ホロコーストに関する本を細々と読み続けている。理由は世界でもおそらく最も有名な大虐殺の歴史だということ、その歴史を踏まえた文学作品が数多くあり、歴史を学ぶことでよりそれらへの理解を深めたいという気持ちがあったか…

『掃除婦のための手引書』ルシア・ベルリン

写真や映画を見たとき、「ああ、この瞬間を切り取るとは!」とその鮮やかさにハッとする時がある。映像だととくにそれが顕著だが、文学でもその瞬間はあって、まるで新鮮な果物を研ぎたての刃物で半分に切ったときのような、毛羽立った表面からは想像もし得…

『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』SFマガジン編集部

発売が決定してからずっとずっと楽しみにしていたアンソロジー。愛してやまない『天冥の標』の著者、小川一水も参加となれば買うしかない!!ということで、SFマガジンの百合特集から助走をつけてきた身としては、本当に発売が嬉しかった。そもそもジャンル…

『収容所のプルースト』ジョゼフ・チャプスキ

「文学の意義」「文学部の意義」、よく問われるこれらのキーワードに対して苦々しい思いを抱いているのは私だけではないだろう。文学を学ぶこと、文学を楽しむことになんの意味があるのかと、「何の役にも立たない」「ただの娯楽」と蔑まれることもある文学…

『わたしは英国王に給仕した』ボフミル・フラバル

池澤夏樹編の『世界文学全集』にも収められているボフミル・フラバルの代表作がこのたび文庫化!ということで、わたしにとっては初のフラバル作品。 この作品はチェコで働く若き給仕、ヤン・ジーチェが百万長者を目指し、エチオピア皇帝に給仕するまでに上り…

『姑獲鳥の夏』京極夏彦

――君を取り囲む凡ての世界が幽霊のようにまやかしである可能性はそうでない可能性とまったく同じにあるんだ。 この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君。p.92 はじめての京極堂。分厚すぎる(『姑獲鳥の夏』は比較的薄い方)、ペダンチック、日本…

『鼻/外套/査察官』ゴーゴリ

ゴーゴリの作品は青空文庫にも入っていて無料で読めたり、いろいろ翻訳が出ている。私が光文社の古典新訳を選んでみたのは、「落語調で訳されている」というのが(賛否両論あるみたいだが)なかなか挑戦的で面白そうだなと思ったから。あと来るべき『死せる…

『マルドゥック・アノニマス4』冲方丁

ウフコックの死が約束されているアノニマス、第4巻。スクランブルの頃からずっと読んでいるけれど、バロットの成長っぷりに目頭が熱くなる。世界の何もかもを諦めていた彼女が、ウフコックやイースターズ・オフィスの仲間たちと出会って、未来を自分で選択す…

『カフカの父親』トンマーゾ・ランドルフィ

イタリアの鬼才、トンマーゾ・ランドルフィの短編集。奇想天外なお話、どれも質感が違っていてバリエーション豊かで面白かった! その中でも「カタチがないものに別の特性を付与する」作品が私は好きだな。 「『通俗歌唱法教本』より」は人間が喉から発する…