ではさっそく、旅に出る準備をしよう。
荷造りにはある程度の秩序が必要。使用済みパンツと新しいパンツは別の袋に入れたいし、ちょっといいレストランに行くときのドレスと、海に行くときのTシャツはごっちゃにならないようにしないといけない。最初にどの電車に乗って、どこでご飯を食べるのかも決めておきたい。スーツケースにお土産用のスペースも残しておかないとね。
「世界の国々の文学を、1ヶ国1冊 (以上) ずつ読む」というのがこのチャレンジの趣旨なのだが、とりあえずは世界地図に沿って、日本から出発〜アジア諸国〜中国大陸〜という方向で進んでみようと思う。ただしあんまりガチガチに決めても面白くないので、ちょっとアジア暑すぎない?若干飽きたな?となったら急に東欧あたりに飛ぶかもしれない。まあそこはご愛嬌。
あとは、以下のようなざっくりとしたルールで進めていく。
★何をもってその国の作品とするのか
これは前回のnoteでも書いたとおり、作家の母国なのか、作品が出版された国なのか、作家が現在、作家活動を主に行っている国なのか・・・というところで様々な区切りが存在する以上、厳密に定義することができないし、あくまで国は道しるべなだけなので、そんなにこだわるつもりはない。
基本的に、その作品の作家紹介や概要説明に載っている「○○文学の金字塔」とか、「○○の作家」というもので判断していく(○○は国/地域の名前)。
★日本語に翻訳されている文学作品を読む
小説に限らず、詩も批評も含めて(少なくとも)1冊、気になるものをピックアップして読んでいく。これは私の独断と偏見で選ぶけれど、なるべく今まで読んだことのない作家にしようかな。どうしても翻訳が見つからなければ、泣きながら英訳を探して読むか、代わりにその国の映画を見る、料理を食べる、写真/絵画の展覧会に行く、などで何らかの対処策を取る。数ある芸術カテゴリの中で一番好きなのが文学だから文学を選んでいるだけで、「その国の文化に触れる」という意味であればぶっちゃけなんだって良いと思っている。
★脱線バンザイ
本のレビューは脱線こそが面白いということを、最近友田とんさんの作品を読んで学んだので、私も実践してみたい。「こんなこと書いてあるけど、そういえばこないだ電車で見かけたあの光景が」みたいな。私は友田さんみたいにバランス感覚が優れているわけではないので、脱線したきりしばらく戻ってこない、とかがありそうだけれど。
★「作家論」からなるべく離れる
はじめて読む作家の場合、とくに顕著に現れる読書傾向なのだが、テクスト本体ではなくその「作家自身の話」にばかり気を取られてしまうことがある。その作家の育った環境、影響を受けた文学、得意とするジャンルなど、テクストを「作家を取り巻く環境」というフィルタを通したもので読んでしまうのだ。私は個人的にはこの読み方はあまりしたくない。
もちろん、その作品を理解する上で、作家の文化的・歴史的背景を無視することはできない。特に海外の作品の場合、その背景が色濃く反映されていることが多いから、避けては通れないのだが、そればかりに注視してしまうと、上記のとおりそのフィルタが邪魔をして、テクスト本体の読みができなくなる。あくまでその作家自身の歴史や、文化的背景は二の次にして、テクスト本体ファーストで行きたい。
こんなところかな。では、栄えある第一回は、まず日本から。
この旅はいつ終わるとも知れないけれど、私にも、あなたにも、良い出会いがありますように。